潮風

潮気のある街で金色の靴を 真っ青な空中庭園で 浮かんで 浮かんで またとない日々 錆びゆく風を愛する声がする 丸くなった硝子 色とりどりの 誰もが棘を忘れる砂浜で 転んで 転んで 口ずさむ歌 潮風まで大人になってゆく 飛行機 小さい 煙が眩しい 寝不足 それでも 早起きをする 太陽 ぬくもり 誰にも言わない 薔薇色の頬に孤独 後遺症のように涙を零し 涙の意味はずっとわからぬまま 後遺症のように涙を零し 明い黄色 苦い檸檬を齧るのです 明い黄色 苦い檸檬を齧るのです 潮気のある街でお気に入りの 坂道を登った裏路地で 浮かんで 沈んで ぎこちない夢 錆びゆく風を孕むブラウスの裾 朝焼け 芳ばし 瞳は満月 寄せては返して また此処へ来る 手のひら ぬくもり 私にはわかる 薔薇色の日々の孤独 後遺症をのこし心は傍に 涙の理由はずっと話せぬまま 後遺症をのこし心は傍に 明い黄色 苦い檸檬を齧るのです 明い黄色 苦い檸檬を齧るのです 後遺症のように涙を零し 涙の意味はずっとわからぬまま 後遺症のように涙を零し 明い黄色 苦い檸檬を齧るのです 明い黄色 苦い檸檬を齧るのです