Lyrics
朝焼けの声が頬を滑る新しい涙に乱反射して、
くさむらを駆け抜ける。見逃さぬ様に瞬きを堪えたの。ぼくたちは地球の美味しい部分だけを都合よくたべつくしては、うみだした偶像に軽々しく命を差し出したのだろう。
それでも太陽が会いにきてくれるから。
あしたが無くなるその日までは
全てのものは生きていると感じられるの。
この世にはないはずの御霊を弔って。
金色の蝶々をつかまえて、彼らから鱗粉を奪った児童期の夏。遥かで遠くで鳴る銃器のおと。光を失ってしまった夜。焼け落ちてしまった稲穂は、誰かのからだの栄養分になるはずだった。まる焦げに萎れたひまわりは、幸せな家庭の花瓶を彩るはずだったのに。工業地帯から排される黒い煙のゆく先は、宇宙と私たちを隔てる膜を突き破る。僕らがみているその膜の先には、うんと大きな星々が輝いているんだ。
木々が枯れ果て、さだめがぼくらを襲おうと、黎明はぼくらを呼ぶ。そう、最期のその瞬間に、黎明は僕らを忘れる。
銀色の枡形星。名峰アルプスの雪解け。鏡をなす水田の鮮やかさ。まいにちが白昼のなかのように、光に包み込まれる東京。
時計はチクタクと飽きずに今日もまわって、朝の訪れはぼくたちを呪う。全てのものは生きていると感じられるの。そのかねが鳴り響いた瞬間は。
黎明のそのさきへ、
ぼくは一度いけなくなるけれど。
黎明のそのさきへ、
きみはぼくを置いてでも進んで。
進んでほしいなぁ。
Written by: たけ