トケイソウ

遠い夏の陽 映し出す 陽炎 すり減らした 足跡が唄う 夢に向かって 息を切らして 風感じて 憶い出す 追いかけた改札と 背伸びしたコンタクト 流れる景色に 馳せた 遠回りした道も ただもう忘れたくて 聴こえる懐かしい声 手を伸ばして 逸れないようにと呼んだ あなたは誰なの？ 速くすぎた車窓と 沈む夕日も 色落として 手を振る ぼやけて滲む 陽炎 振り返ると いつも笑ってた どこにいたって 変わらなくって いつの日だって 水溜りに 映る街並みは 変わらなくて ただ揺れる水面 置き去りの秒針と 待てなかった雨の日も 潤んだ瞳で 追いついた笑顔の君を まだ忘れられなくて 名前を呼ぶその声 繰り返して 叶うのならあの陽を もう一度観たいと 辿る改札には 影もなくて 遠く続く線路に 面影探して 時が経てば経つほど そう思い出は いつも色濃くなって 忘れられず 心に残りつづけ いつまでも 僕らを 惑わすの 聴こえる懐かしい声 手を伸ばして 逸れないように叫んだ あなたは陽炎？ 速くすぎた車窓と 沈む夕日も 色落として 手を振る ぼやけて滲む トケイソウ