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P(パイロット)「エヴァンガイン初号機、地上到達。オペレーションルーム、目標の位置を教えて」
O(オペレーター)「三時の方向に人型怪獣が二体。七時の方向に四足歩行型が一体よ」
P「どっちを狙えばいい?』
O「まずは四足歩行型。奴らは素早いわ。これ以上ここに接近させないように細心の注意を払って!」
P「ラジャー。移動する」
O「頼んだよ。怪獣がこのセントラルテンプルに接触した途端、サードビッグバンが発生し、人類は滅亡してしまうの……! 世界の命運はあなたにかかっている」
P「安心して。私を誰だと思ってるの」
O「あ! 敵から高エネルギー反応! 砲撃に警戒して!」
P「了解! アトラクタフィールド展開!」
O「発射された! で、デカい……っ!」
P「うおおおおおおおおおっ!」
O「お願い! 耐えて!」
P「こんなもの……、私の敵じゃないわっ!」
O「あ、あっさり弾き飛ばした︎!?」
P「フフッ……、これが私の実力よ」
O「さすがね……。エヴァンガインの出力はパイロットとのシンクロ率に依存する。そしてあなたは脅威の99.8%という数字を叩き出した天才パイロット……! 理論上有り得ないとされるほどのシンクロ率から、”神の悪戯”の異名を取る女……!」
P「そんなに褒めないでよ。さ、今度はこちらから攻撃と行きましょう」
O「……ま、待って!」
P「どうしたの?」
O「こちらのモニターに写っているコクピット内の映像からあなたが消えた!」
P「何言ってんの? 私はここにいるわよ? 初号機も問題なく動かせるし」
O「どういうこと? さっきの敵の攻撃の影響なのかな」
P「いえ、完璧に防いだはずよ。……あっ、そ、そうか!」
O「何か分かったの︎!?」
P「……半年前のことよ。私初詣に行った神社で、『透明人間になれますように』と願ったの」
O「はぁ」
P「それが今叶ったみたい!」
O「こんなタイミングで叶うな!」
P「私だってびっくりよ! ねぇ、これ考えうる最悪のタイミングじゃない?」
O「本当にね! なんでよりにもよって人類の存亡をかけて巨大ロボに載ってる時に透明人間になるの!」
P「知らないよ! 何なのこの奇跡! あれ?タイミングが奇跡なのかそもそも願いが叶ったのが奇跡なのかどっち?」
O「どっちでもいい! 異常事態だけど今は置いとこう! 戦いに集中するの!」
P「今後私の”神の悪戯”という異名はこの件を指すことになりそうで嫌なんだけど!」
O「そうかもしれないけど今は気にしないで!」
P「そ、そうね。しかしもったいないわね……。今の私は見えてても見えなくても完全にどっちでもいいのに……」
O「余計なこと考えてないで戦って!」
P「無駄話している間に敵を見失った! どこ?こっち?」
O「こっちってどっち︎!?」
P「指差してるでしょ!」
O「見えないんだよ!」
P「何にも得してないのに支障は出始めた! どうせならエヴァンガインごと透明になればいいのに!」
O「エヴァンガインはガッツリ見えてる!」
P「本当に無駄な奇跡だなこれ! そこもシンクロしてよ!」
O「四足歩行型は5時の方向だよ! 落ち着いて! あなたならなんてことない敵だよ!」
P「了解! さっさと片付けて早くここを出たい! この透明な体を活かして色々と……」
O「こら! 邪念を持っちゃダメ!」
P「な、何? 急に初号機の動きが鈍ってきた」
O「シンクロ率が急激に低下してる! エヴァンガインは『怪獣を倒したい』という強い意志に反応して動くの! 『透明人間になったことを活かしたい』という意志に飲み込まれないで!」
P「しっかり支障出てるな︎!?やっぱりタイミング最悪だ!」
O「透明になっていることは忘れて! 気にしないで!」
P「体が突然透明になっても気にならない奴がいるなら見てみたい!」
O「突然も何もあなたが願ったんでしょ! 何で透明になろうなんてと思ったのよ!」
P「泥棒し放題だと思って!」
O「自爆装置作動!」
P「ごめんって! 私だって本気じゃなかったのよ! まさか本当に叶うなんて思わないでしょ!」
O「くたばれ!」
P「謝ってるのに厳しいな︎!?私がくたばったら人類が滅びること忘れないでよ!」
O「じゃあさっさとあの四足歩行型を倒して!」
P「喋ってる間に倒した!」
O「優秀は優秀なのかよクソが!」
P「何で優秀なのに怒られるのよ!」
O「次は人型の二体! でもあなたのような社会悪を透明のままコクピットから出すわけにはいかない! 透明化が解除されるまで待ってから倒して!」
P「そんな悠長なこと言ってられるか! 怪獣がセントラルテンプルに接触したらサードビッグバンが発生するんだよ︎!?」
O「じゃあ一匹を普通に倒して二匹目と差し違えて!」
P「死なすな! 私エースパイロットなんだよ︎ 落ち着いてよ! 私実際には泥棒なんて絶対にやらないから! どうして信じてくれないの︎!?」
O「あなたが『泥棒』というワードを放つたびにシンクロ率が落ちているからだよ!」
P「なんて嫌なロボットなんだ! そ、それは私の無意識的な部分に反応しているだけであって、私にはちゃんと理性があるから!」
O「どうだかね!」
P「もう、あんただって透明になったら絶対に邪心が生まれるはずなのに……」
O「な、何︎ 私の体が透明になり始めた!」
P「え︎!?」
O「私に何をしたの!」
P「わ、分かんない。もしかしたら『あなたに私の気持ちを分かってほしい』という願いをあの神社の神が叶えてくれたのかも!」
O「余計なこと願うな! 神様も余計なことしないでよ!」
P「私もこっちの願いだけすぐに叶えてくれたことに多少の不満がある!」
O「い、一旦忘れよう。私が透明かどうかはこの戦いに一切関係ないから」
P「本当に無駄な奇跡ね」
O「……痛っ! すいません、この席は私が座ってるんで隣使ってください」
P「そっちも地味な支障が出てない︎?」
O「だ、大丈夫! さあ早く人型を倒して!」
P「そ、それが、エヴァンガインの動きが悪い……!」
O「邪念を捨てろって言ってるでしょ!」
P「そんなこと言われても……! あ、あんただって今なら分かるでしょ!」
O「……オペレーションルームより全隊員に通達。みんな今すぐ自分のお財布を隠して!」
P「な、なんて自制心と理性の強い女なの……! まさか見たいと思っていた『体が突然透明になっても気にならない奴』が本当にいるなんて」
O「見れないけどね」
P「透明人間ジョーク出せるの早くない︎!?」
O「さあまず2時の方角にいる奴から! 早くして!」
P「ダメだ……! 完全に動かなくなった!」
O「えぇ︎!?」
P「私は泥棒と言ったらレジのイメージだったのに! あんたが財布という新たな可能性を提示したせいで邪念が強まったみたい!」
O「可能性を提示した覚えなはいよ! いい加減にして!」
P「私だって実行する気はないんだって! 誰かあの神社に行って私を透明じゃなくしてと願ってきて! あの神社は本物よ!」
O「このままじゃ人類滅亡の原因はあなたの泥棒願望になるよ!」
P「最悪過ぎる……っ! でもダメだ! 全く動かない! 他のパイロットはいないの︎!?」
O「全員前回の戦いで怪我しちゃったの! あなたしかいない!」
P「じゃああんたが乗って!」
O「私︎!?私は搭乗訓練を受けていないもん!」
P「何とかなるよ! あんたほど邪念のない人間はいないんだから!」
O「……分かった、任せて! 転移装置を使って私とあなたを入れ替える!」
P「お願い!」
O「……ちょ、ちょっと待ってください! 私まだ転移装置に乗ってません!」
P「また支障出てない︎!?」
O「だ、大丈夫! 転移装置、起動!」
P「……あ、ここはオペレーションルーム……。そっちは転移できた?」
O「ええ。ほら、ここにいるのが見えないの?」
P「透明人間ジョークやめろ! 手元のモニターにシンクロ率が出ているはずよ! 何%?」
O「47%」
P「ガッツリ高いパターンかと思ったらそこそこね!」
O「単に私にパイロットの才能がないんだと思う」
P「本当に嫌なロボットだな!」
O「でもある程度は動くみたい! 私には戦闘経験がないから不安だけど……」
P「安心して! 喋りながらあと一息で倒せるとこまではやっといたから!」
O「本当に優秀は優秀だな!」
P「……あ、よく見たらもう動いてなくない? 倒してるわ」
O「ねえ! 私に才能がないのが露呈しただけなんだけど!」
P「まあいいじゃん、無事に怪獣を倒し切ったんだから」
O「……そうね。あ、せっかく乗れたからちょっといい?」
P「何?」
O「例の神社を踏み潰してくる!」
P「2時の方向よ!」
Written by: manbo-p
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