置き手紙

この部屋に越してきてから　ずっと嫌な雰囲気

カーテンを開けても　なんだか薄暗い

蛇口とシャワーが勝手に　出しっぱなしになる

視界の端っこで何かが動く

三日目の夜についに　現れた青白く痩せた女

恨めしい目で　私を　睨む

本当に怖かった　今すぐ逃げ出したかった

でも行く所がない　しばらく我慢しようかな

両親が事故で死んで　私は施設育ち

大人になっても　ずっと一人暮らし

一人ぼっちでいるのに　ちょっと慣れすぎたかな

距離を縮めてくる　他人がすごく嫌い

この部屋で　初めて経験しているの

共同生活　相方は　お化けだけど

慣れちゃえば怖くない　ウザい時はたまにあるかな

でも会話しなくても　いいのは凄く楽でいい

結構長く住んだこの部屋ともお別れ

まさかこの私が結婚するなんてね

あんたが字を読めるのか知らないけど一応

お別れの手紙を置いていくからね

恨むのも憎むのも呪うのも怖がるのも

相手が居ての事ね　一人じゃ出来ない

本当にありがとう　私は一人じゃなかった

本当にありがとう　私は寂しくなかった