雨と白昼夢

竜胆色の風に

包まれるこの街

人知れず今日も羨ましく思った

小さく歩いてた午後

あの喫茶店の前に

懐かしい横顔を

吹き荒ぶように思い出していたら

信号は青に変わってた

悴んだ手をポケットに詰め込みため息をこぼす

いつの日にか変われる時を夢見るけど

あの日あなたが流した涙が

私をこの場所に閉じ込め動けない

言い訳ばっか繰り返して卑屈になっても

戻らない いじらしい雨上がり

凛と咲いてた花の

散り際も気付かずに

あの猫が何故か懐いていたことも

今ではどうでもよかった

見飽きた窓の外も

煙に巻かれた部屋も

日陰暮らしでもそれはそれで良かった

今ではどうでも良かった

後悔なんてもう意地でも出来ないことだけはわかる

寄り道したベンチで目を伏せ息をした

あの日あなたと交わした誓いが

過去になって もうどこにも見当たらない

良いわけなんかないのに複雑に絡まって

解けない もどかしい昼下がり

もう叶えられないことがあるから

生きてる間にせめてあと一つでも

言い訳ばっか繰り返して卑屈になっても

戻らない

あの日私が流した涙は

私がこの場所に置いて歩き出そう

良いことだってたまには起きてるだろう

明日を信じたい いじらしい雨上がり